こんにちは!歯科衛生士の大前です。
皆さんは普段、歯磨きをした後に何回くらいうがいをしていますか?
先日、患者さんから「歯磨きの後って、何回くらいうがいをすればいいんですか?」というご質問をいただきました。
歯磨き粉の泡や味がお口の中に残っていると、なんとなく気になって、何度も水ですすぎたくなりますよね。
実際に、泡が完全になくなるまで何回もうがいをしているという方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、虫歯予防の観点から考えると、実はその習慣が少しもったいないかもしれません!
今回は、意外と知られていない歯磨き後の正しいうがいの方法について、歯科衛生士の視点から詳しくお話ししていきます。
歯磨き後のうがいは何回が正解?
結論からお伝えすると、フッ素(フッ化物)配合の歯磨き粉を使用した後は、少量の水で1回だけすすぐ方法がおすすめです!
「えっ、たった1回でいいの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
歯磨き後のうがいには、お口の中に残った歯磨き粉などを洗い流す役割がありますが、何度もすすいでしまうと、歯磨き粉に含まれている虫歯予防に役立つ成分まで流れ出てしまいます。
特に、フッ素配合の歯磨き粉を使用している場合は、歯磨き後もできるだけフッ素をお口の中に残しておくことが大切です。
日本口腔衛生学会をはじめとする4学会が2023年に発表した「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」でも、歯磨き後は歯磨き粉を軽く吐き出し、少量の水で1回すすぐ方法が推奨されています。
では、なぜフッ素をお口の中に残すことが大切なのでしょうか?
その理由を詳しく見ていきましょう。
そもそもフッ素にはどんな効果があるの?
歯磨き粉のパッケージなどでよく目にする「フッ素」という言葉。
虫歯予防に良いというイメージはあっても、具体的にどのような働きをしているのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
フッ素には、主に3つの虫歯予防効果があります。
① 歯の再石灰化を促進する
私たちのお口の中では、食事をするたびに、細菌が作り出す酸などによって歯の表面からカルシウムやリン酸が溶け出す「脱灰」という現象が起こります。
一方で、唾液には溶け出したミネラルを歯に戻そうとする「再石灰化」という働きがあります。
健康なお口の中では、この脱灰と再石灰化が繰り返されています。
フッ素には、この再石灰化を促進し、歯の修復を助ける働きがあります。
② 歯の質を強くする
フッ素は歯の表面に作用することで、酸に溶けにくい歯質を作るのに役立ちます。
つまり、虫歯になりにくい丈夫な歯を保つためのサポートをしてくれるのです。
③ 虫歯菌の働きを抑える
虫歯菌は、食べ物に含まれる糖分を利用して酸を作り出します。
この酸によって歯が溶かされることが、虫歯の原因の一つです。
フッ素には、細菌が酸を作り出す働きを抑える作用もあります。
このように、フッ素はさまざまな面から私たちの歯を守ってくれる成分です。
ただし、フッ素入りの歯磨き粉を使えば絶対に虫歯にならないというわけではありません。
毎日の丁寧な歯磨きや食生活、定期的な歯科検診と組み合わせることが大切です。
何度もうがいをすると、どうなるの?
フッ素の効果を十分に活用するためには、歯磨き後もお口の中にフッ素をできるだけ長く残しておくことがポイントです。
しかし、歯磨き後に大量の水を使って何度もすすいでしまうと、歯磨き粉に含まれていたフッ素がお口の外へ流れ出てしまいます。
せっかくフッ素配合の歯磨き粉を使っていても、すすぎすぎることで、お口の中に残るフッ素の量が少なくなってしまうのです。
例えば、フッ素入りの歯磨き粉を使って丁寧に歯を磨いた後、コップいっぱいの水で3回、4回とうがいをしていたらどうでしょうか。
歯磨き粉の泡や味はすっきり洗い流せるかもしれませんが、虫歯予防のために残しておきたいフッ素まで流してしまうことになります。
そのため、歯磨き後は何度もすすぐのではなく、少量の水で軽く1回すすぐ方法がおすすめです。
フロスは歯磨きの前?後?おすすめは歯磨き前!
皆さんは普段、デンタルフロスをどのタイミングで使用していますか?
歯磨きの後にフロスを使用しているという方も多いのではないでしょうか。
実は、今回ご紹介している「歯磨き後のうがいを少なくする」という観点からも、フロスは歯磨き前に使用するのがおすすめです!
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に落とすことが難しいため、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を併用することが大切です。
先にフロスを通して歯と歯の間のプラーク(歯垢)を取り除いておくことで、その後に使用するフッ素配合歯磨き粉の成分が歯と歯の間にも届きやすくなることが期待できます。
また、歯磨き後にフロスを使用すると、取れた汚れが気になって、もう一度お口をすすぎたくなることもありますよね。
先にフロスを済ませておけば、歯磨き後に何度もすすぐ必要がなくなり、フッ素をお口の中に残しやすくなります。
もちろん、歯磨き後にフロスを使用することが間違いというわけではありません。大切なのは、歯と歯の間まで毎日丁寧に清掃することです。
今日から実践!おすすめの歯磨きとうがいの方法
それでは、フッ素の効果をできるだけ活かすために、おすすめのセルフケアの順番をご紹介します!
① フロスや歯間ブラシで歯と歯の間を清掃する
まずは、歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間の汚れを取り除きましょう。
② フッ素配合の歯磨き粉を使って丁寧に磨く
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目などにしっかり当て、磨き残しがないように磨きましょう。
③ 歯磨き後は余分な歯磨き粉を軽く吐き出す
お口の中にたまった泡や歯磨き粉を軽く吐き出します。
④ 約15mlの水で5秒程度、1回だけすすぐ
15mlは大さじ1杯程度の量です。
普段コップいっぱいの水を使っている方にとっては、かなり少なく感じるかもしれませんが、何度もすすがず、軽く1回だけにすることがポイントです。

また、歯磨き後はフッ素をお口の中に長く留めるために、1〜2時間程度は飲食を控えることが推奨されています。
特に就寝前の歯磨きは、その後に飲食をしない習慣を作りやすいため、フッ素を活用するうえでもおすすめのタイミングです。
歯磨き粉がお口に残っていても大丈夫?
ここまで読んで、「でも、歯磨き粉がお口の中に残っているのは気持ち悪くない?」「飲み込んでしまっても大丈夫なの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
歯磨き後に少量の水で1回だけすすぐ方法は、フッ素配合歯磨き粉を適切な量で使用することを前提とした、虫歯予防のために推奨されている方法です。
歯磨き粉を積極的に飲み込んでよいという意味ではありません。
歯磨き後は余分な泡をしっかり吐き出し、歯磨き粉の使用量も年齢に合わせて調整することが大切です。
また、歯磨き粉の味や泡立ちが苦手で、何度もすすがないと気持ち悪いという方は、低発泡タイプや味の刺激が少ない歯磨き粉を選んでみるのも一つの方法です。
無理なく毎日続けられるセルフケアを見つけていきましょう。
子どもも同じ方法でうがいをしていいの?
フッ素配合の歯磨き粉は、子どもの虫歯予防にも役立ちます。
ただし、大人と子どもでは、推奨される歯磨き粉の使用量やフッ素濃度が異なります。
2023年に発表された4学会合同の推奨では、年齢別に以下の使用方法が示されています。
歯が生えてから2歳まで
* フッ素濃度:900〜1000ppmF
* 使用量:米粒程度(1〜2mm程度)
* 歯磨き回数:1日2回
保護者の方が適切な量を使用し、歯磨きを行いましょう。
3〜5歳
* フッ素濃度:900〜1000ppmF
* 使用量:グリーンピース程度(5mm程度)
* 歯磨き回数:1日2回
歯磨き後は歯磨き粉を軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回にしましょう。
6歳以上
* フッ素濃度:1400〜1500ppmF
* 使用量:歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)
* 歯磨き回数:1日2回
歯磨き後は軽く吐き出し、少量の水で1回だけすすぐことが推奨されています。
小さなお子さんの場合は、歯磨き粉を大量に飲み込まないよう、保護者の方が見守りながら使用してください。
※お口の状態や年齢、うがいができるかどうかなどによっても適切な方法は異なります。気になることがあれば歯科医院でご相談ください。

うがいの回数だけでなく、歯磨き粉選びも大切!
ここまで、歯磨き後のうがいの回数についてお話ししてきましたが、実は使用する歯磨き粉選びも虫歯予防において重要なポイントです。
現在、市販されている歯磨き粉にはさまざまな種類があり、フッ素濃度や配合成分、泡立ち、研磨剤の有無など、それぞれに特徴があります。
「なんとなくいつも同じものを使っている」
「パッケージや味だけで選んでいる」
という方も多いのではないでしょうか?
虫歯のリスクやお口の状態は、一人ひとり異なります。
虫歯になりやすい方、歯ぐきに炎症がある方、知覚過敏が気になる方など、それぞれのお悩みに合わせて歯磨き粉を選ぶことも大切です。
また、フッ素の効果を活かすためには、歯磨き粉の種類だけでなく、使用量や使用回数、歯磨き後のうがいの方法まで意識してみましょう。
まとめ|歯磨き後のうがいは少量の水で1回がおすすめ!
今回は、患者さんから実際にいただいたご質問をもとに、歯磨き後のうがいについてご紹介しました。
毎日何気なく行っている歯磨きですが、ちょっとした習慣を見直すことで、虫歯予防の効果をより高めることにつながります。
フロスは歯磨き前に、うがいは少量の水で1回を意識してみましょう!
「今まで何回もすすいでいた!」という方は、ぜひ今日の歯磨きから試してみてくださいね♪
当院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせた歯磨き方法や歯磨き粉の選び方についてもアドバイスを行っています。
「自分に合った歯磨き粉が分からない」「今のセルフケアで大丈夫かな?」など、気になることがありましたら、お気軽に歯科衛生士にご相談ください!
毎日のセルフケアと定期的な歯科検診で、一緒に健康なお口を目指していきましょう!








