歯を失った方へ
虫歯や歯周病の悪化や突然の事故などにより、歯を失ってしまうことがあります。「1本くらい歯がなくても……」と放置してしまう方もいるようですが、それは決して賢明な判断ではありません。なぜなら1本でも歯を失うとお口全体のバランスを崩し、さまざまな問題を招くことが考えられるからです。
歯を失ってしまったら、できるだけ早く適切な治療で機能を回復させることが重要となります。当院では、一人ひとりに合った治療法をご提案し、お口の機能回復をサポートします。
歯を失ったあとの治療法
ブリッジ
抜けた歯の両側の歯を削って、橋を渡すように冠をかぶせます。
失った歯の場所、本数によっては、治療できる場合とできない場合があります。
入れ歯より違和感が少ないという長所があります。
ただし両側の歯が健康な場合は、削ることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
費用は保険適用になる場合とならない場合があります。
入れ歯
入れ歯は、治療の際の患者さんの負担も少なく、また完成後手入れも簡単です。ただ食べ物が間に挟まったり、ゆるく外れそうになったり、バネが見えるのが気になることもあります。入れ歯でも、金属のバネの目立たないもの、アタッチメント(磁石)を使用したもの、歯の材質がより変色しにくいものなど、自費のものを含めると、いくつもの種類があります。
インプラント
歯を失った部分の顎の骨に、生体親和性の高いチタン製のインプラント(人工歯根)を埋め込み、その上に人工歯を装着して咬む機能を取り戻す治療法です。しっかり固定されて天然歯と同じように咬めるうえに、見た目も美しいことで注目を集めています。ただし手術が必要となり、全額自費のため高額になります。当院では口腔外科の専門医によるインプラント治療を行っています。
Point4.精密で正確な手術
インプラント治療ではまず、患者さまのお口の中の状態をできる限り詳しく知ることが重要になります。当院では歯科用CTを使って、あごの骨の厚みや質、神経や血管の位置といった情報を把握しています。
さらに当院では、歯科用CTで撮影した立体画像を元に、コンピュータ上での手術シミュレーションを行っています。さらにシミュレーションした位置に正確にインプラント植立できる様にサージカルガイドを用いています。事前にシミュレーションを行うことで、より正確かつ短時間での手術が可能になります。
手術時間が短くなるほど、痛みや腫れ、感染症などのリスクも抑えられます。患者さまに安心して手術を受けていただけるよう、精密、正確な手術を心がけております。
Point5.見た目にも美しく
噛み合わせといった機能面だけでなく、見た目の美しさも重視しています。場合によっては歯肉移植なども行い、天然の歯と同じような自然な外見を目指しています。
当院のインプラント治療の流れ
【1】カウンセリング
まず患者さまのお話しをお聞きして、ご要望をしっかり把握します。インプラント治療についての詳しい説明を行い、不安や疑問にお答えします。
【2】精密検査
レントゲン撮影、CT撮影、歯周病検査、噛み合わせの検査、あごの骨の検査などを行います。お口の中の状態を正確に把握し、細かい治療計画を立てます。
【3】インプラント埋入手術
外科手術を行い、あごの骨にインプラントを埋め込みます。手術は1~2時間で終わりますが、インプラント体とあごの骨がしっかりと結合するまで、3~6か月程度かかります。この期間、仮の歯を使用できる場合もあります。
【4】アバットメント装着手術
歯茎を切り開く外科手術を行い、インプラント体に義歯を取りつけるためのアバットメントと呼ばれる部品を装着します。手術は1時間程度で終わりますが、歯茎が治るまで1~6週間かかります。
【5】仮歯の装着
インプラントと骨が結合するまでの間、インプラントの上に仮歯を入れる場合があります。
【6】人工歯の作成
歯茎が治るのを待って型を取り、インプラントに取り付ける人工歯を作ります。人工歯の形や色などは、患者さま一人一人に合わせて作製します。
【7】人工歯の装着
完成した人工歯をインプラントに取りつけます。
実際に使用していただき、調整を行います。
使用して問題なければ完成となります。
【8】定期メンテナンス
治療終了後は、3~6か月に1回の定期メンテナンスが必要です。メンテナンスでは、噛み合わせの調整やクリーニングを行います。
インプラント治療では、あごの骨に埋め込んだ人工歯根で義歯を支えるので、あごの骨の量が少ない方には適応できないこともあります。当院ではそういった患者さまのために、増骨手術を行っています。
増骨手術にもさまざまな方法がありますが、どういった方法が患者さまにとってベストな治療法かは、診察をしてみなければ分かりません。インプラント治療をご希望の方は、まずご相談ください。
インプラントのメリット・デメリット
インプラントは、天然の歯と同じように噛むことができて、見た目にも天然の歯とほぼ変わらない治療法です。しかし、インプラントにはデメリットも存在します。ここではインプラント治療のメリットとデメリットを、それぞれご紹介しましょう。
インプラント治療のメリット
しっかりと噛める
天然の歯とほぼ同じ感覚でものを噛むことができるので、食べ物の味や感触もよく分かります。
残っている歯を守る
インプラントはあごの骨で支えられているので、残っている周囲の歯に負担をかけることがなく、また清掃性が高いので、歯周病などや二次う蝕によって周りの歯を失うリスクを低減できます。
見た目が自然
外見は天然の歯とほぼ同じため、インプラントだと気付かれることがありません。
全身の健康や老化防止につながる
しっかりと噛めることで、あごの骨や脳に刺激を与えられるので、認知症などの老化防止も期待できます。
半永久的に使える
インプラントは大変丈夫なため、アフターケアをしっかりしていれば半永久的に使えます。
安全性
あごの骨に埋め込む人工歯根には、人体との親和性が高く、金属アレルギーが起こりにくいチタンが使用されています。
インプラント治療のデメリット
費用が高い
インプラントは健康保険が適用されない自由診療にあたるため、治療費が高くなります。
インプラント治療にかかった費用は、医療費控除の対象となります。確定申告のときに申請すると、所得総額と治療費に応じて所得税が一部戻ってきます。またデンタルローンをご利用いただければ、月々無理のないお支払いで治療が可能です。
手術が必要
入れ歯やブリッジと異なり、インプラントは外科的手術が必要です。
治療期間が長い
入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長くなります。人工歯根とあごの骨がしっかり結合するまでに、三ヶ月以上、骨造成を行う場合半年以上かかることもあります。
アフターケアが必要
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアや、定期的な歯科医院でのメンテナンスが必要です。
体調によっては治療が受けられない
糖尿病や重度の全身疾患や歯周病がある場合、妊娠中の場合は、治療ができない場合がございます。インプラント治療の前に、病気の治療が必要となります。
インプラント、入れ歯、ブリッジの違い
天然の歯が抜けてしまった場合、何らかの方法で補わなければいけません。歯は互いに支え合うことでしっかりとした噛み合わせを作っているので、抜けたままにしておくと、他の健康な歯までが影響を受けてしまうのです。
抜けてしまった歯を補う方法としては、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類が考えられます。それぞれメリットとデメリットがあるので、特徴を比較してみましょう。
インプラントはあごの骨に金属製の人工歯根を埋め込み、そこに人工の歯を取り付ける方法です。歯はいったん取り付けたら、日常的に取り外すことはできません。
入れ歯は、残っている歯に金属のバネを引っかけて、取り外しのできる義歯を固定する方法です。健康保険で治療ができるので、治療費を抑えられます。また保険外で作る義歯もあります。
ブリッジは、周囲の歯を削って土台にして、被せ物を固定する方法です。義歯はセメントで固定されるので、いったん取り付けたら日常的な取り外しはできません。
患者さまによって、どの治療法が適しているのかは違ってきます。当院では患者さまのお口の中を総合的に診断して、一人一人に合った治療法をご提案しています。
ブリッジの特徴
・周囲の健康な歯を削らなければならない
・土台となる歯に負担がかかる
・隙間に食べ物が詰まることがあり、虫歯や歯周病のリスクが高くなる
・保険内でも治療できるので、治療費を抑えられる
入れ歯の特徴
・入れ歯を支える歯に負担がかかる
・天然の歯よりも噛む力が弱くなる
・見た目から、入れ歯であることが分かってしまう
・装着していると違和感がある。また外れたり、動いたりする場合がある
・長年使っていると合わなくなるので、定期的な調整が必要となる
・保険内でも治療できるので、その場合治療費を抑えられる
インプラントの特徴
・周囲の健康な歯に負担をかけることがない
・天然の歯とほぼ同じように噛める
・外見が天然の歯とほとんど変わらない
・義歯が入るまでの治療期間が、入れ歯やブリッジより長くかかる
・自由診療のため、治療費が高額になる
・全身状態や既往症によっては、治療が受けられないことがある
設備について
インプラント治療ではまず、患者さまのお口の中の状態をできる限り詳しく知ることが重要になります。当院では歯科用CTを使って、あごの骨の厚みや質、神経や血管の位置といった情報を把握しています。
さらに当院では、歯科用CTで撮影した立体画像を元に、コンピュータ上での手術シミュレーションを行っています。事前にシミュレーションを行うことで、より正確かつ短時間での手術が可能になります。
手術時間が短くなるほど、痛みや腫れ、感染症などのリスクも抑えられます。患者さまに安心して手術を受けていただけるよう、設備面からも配慮しています。
インプラント治療には、いくつかの方法があります。その中でも代表的な2回法を例に、インプラント治療の流れをご紹介します。
費用について
インプラントと一口に言っても、患者さまによって細かい治療の内容は異なってきます。そのため、一律に治療費を提示することはできません。ここに挙げた治療費はあくまで一例として、参考にしていただけると幸いです。
内訳
手術費 | 3万円 |
---|---|
静脈内鎮静法(麻酔) | 6万円 |
インプラント構造体(フィクスチャ) | 17万円〜 |
インプラント構造体 (アバットメント) |
3万円 |
インプラント構造体(人口歯) | 15万円~ |
骨造成 | 6万円~ |
サイナスリフト | 17万円 |
薬品代 | 1~2万円 |
仮歯 | 1万円〜 |
1本あたりのインプラント治療日の合計 40~50万円
手術例 インプラント1本(麻酔、骨造成なし)
手術費 | 3万円 |
---|---|
インプラント構造体(フィクスチャ) | 17万円 |
インプラント構造体 (アバットメント) |
3万円 |
仮歯 | 1万円 |
人工歯(ジルコニア) | 15万円 |
合計39万円
※その他に、薬品代、型取り代などがかかります。
※表示価格はすべて税抜き価格です。
よくあるご質問
Q.外見から、インプラントしていることが判ってしまいますか?
A.インプラントの義歯は、患者さま一人一人に合わせて、オーダーメイドで作成しています。天然の歯と比べても、ほとんど見分けがつきません。人前に立って話すようなお仕事をしている方でも、安心して治療していただけます。
Q.インプラントの寿命は何年くらいですか?
A.患者さま一人一人の骨の状態や、定期検診の受診率によって異なりますので、一概に言うことはできません。ただ、アフターケアがしっかりできていれば半永久的に機能します。
Q.インプラント治療に年齢制限はありますか?
A.あごの骨が成長しきっていない未成年の方には、インプラントはお勧めできません。高齢の方の場合、あごの骨の状態が良く、健康に問題がなければ、年齢の上限はありません。
Q.金属アレルギーがあっても、インプラント治療を受けられますか?
A.インプラントに使われている素材は「チタン」です。生体親和性が高く、アレルギーを起こしにくい金属として知られていて、医療の分野では人工関節などにも使われています。それでも気になる方は、事前に皮膚科を受診して、どんな金属でアレルギーがあるのか調べていただいたほうがいいでしょう。
Q.インプラント治療では、入院が必要ですか?
A.インプラント治療は手術を行いますが、入院の必要はありません。手術時間はインプラント治療を行う本数によりますが、1時間程度で終わります。手術の終了後は、すぐに帰宅していただけます。
Q.インプラント手術中に痛みを感じることはありますか?
A.手術は局所麻酔をして行うので、痛みを感じることはほとんどありません 。それでも不安な方には、半分眠ったような状態で手術を行う「静脈内鎮静法」という麻酔を行います。静脈内鎮静法は麻酔科の専門医が行うので、安心して手術を受けていただけます。
Q.手術後に痛みや腫れはありますか?
A.通常のインプラント手術の場合、あまり腫れたり痛んだりすることはほとんどありません。軽度の炎症や痛みが起こることもありますが、術後にきちんと薬を飲んでいれば、特に問題なく腫れや痛みが収まることがほとんどです。
Q.手術後、すぐに食事や仕事はできますか?
A.インプラント手術による身体への負担は、抜歯と同程度と考えてください。場合によっては、食事を軟らかなものに変更するといった対応が必要になることもあります。一般的な業務であれば、手術後すぐにお仕事をしていただいても差し支えありません。