ドクターズファイル

綱島駅から徒歩30秒、2016年12月にオープンしたばかりの新しいビルの2階に、今年2月に開業した「和田デンタルクリニック」。ビルのエレベーターを2階で降りると、クリニックの待合・受付フロアに直結している。広々とした待合・受付は、美容サロンのようにおしゃれで、ナチュラルな木目とガラスがセンス良く融合した受付カウンターや、クリーム系色のクロスやカーペット、照明も温かみのある暖色で、緑も効果的に配置されている。和田晃院長は歯根の治療やインプラントなど今まで積んだ高度な技術を患者に還元したい、広めたいという思いで開業した。歯に関するさまざまな患者の悩みに対応し、根拠のある診断と治療を心がけ、1人1人に最適な治療法を患者と決めていくということを大切にしている。
(取材日2017年3月1日)

歯根の治療で抜歯の可能性を減らす

院内

―なぜこの場所に開院されたのですか?

私自身が横浜市の出身、ということがまずあります。昭和大学の歯学部卒業だったこともあり、東横線沿線になじみがありました。最初に就職したのが横浜インプラントセンターで、そこは、日本を代表するインプラントのスペシャリストのもとで、インプラント治療だけではなく、口の中全体の悪いところを治してそれを維持できるような治療、そんな包括的な歯科診療を学び、行っていました。その後、東京の分院長を任され、インプラントや歯の根の治療をメインに高度な治療を患者さんに提供してきました。この技術を今度は地元で少しでも多くの方々に提供することができればと思い、また、この綱島が東京、横浜などからもアクセスが良く、よりたくさんの方々に技術を提供できるのではないかと思い、開業することにしました。

―そちらではどのようなことを学ばれていたのですか。

インプラントセンターでは、海外や国内から数多くの著名なドクターを呼び、先進的な医療を学ぶ機会が多くありました。日本であまり普及していなかった、マイクロエンド(顕微鏡を用いた根の治療)という治療もその一つで、今まで治らないと思われていた病気が治っていくことにとても感動しました。そんな頃、1年に8人までしか受講できないペンシルベニア大学などで行う根管治療の医師を育成するプログラムがあり、さまざまな技術と科学的な根拠や知識を学びました。診断の大切さとその診断を下すためのエビデンス(根拠)の大切さを実感しました。治療の方法は決して一つではなく、治療する医師やその専門性によって診断が違う場合もあります。そのため、インプラントにしなければならないと言われた患者さんでも根の治療を行うことで抜歯せずに自分の歯をもう一度使うことができることがあるということをたくさんの患者さんを通して経験してきました。

顕微鏡を使うことでさらに精密な治療を

―根の治療とは、どのように行われるのですか?

根の治療というのは、虫歯などで歯の神経に細菌が感染してしまったときに神経を取り根っこの中をきれいにして薬を詰めて、かぶせ物をするという治療が、通常の根の治療です。それを、制限された材料や方法、時間で行わざるを得ないのが、保険の範囲内で行う根の治療です。本来は、根っこの中の細菌をしっかり取る必要がある治療なのです。しかし、根の中はとても複雑な形をしていて手探りの治療で、しっかりと感染を除去することはなかなか難しく、とても時間もかかります。さらに治療中も菌の侵入を防がなければ、治療の結果が明らかに悪くなります。そのため、細菌のいない状況で、正確な治療を行うことが、治療の成功率を高める上で、重要なのです。

インタビュー

―先生のところで行う根の治療は、どのようにするのですか?

治療する前の処置や診査、診断患者さんへの説明にもしっかり時間を取り、細菌による感染を防止するよう、ラバーダムというゴムのマスクをして、可能な限り使い捨ての滅菌された器具を使い、口腔内の環境も整えて治療するようにしています。それが自費で行う根管治療の良いところです。さらに、顕微鏡を使い、今まで見られなかった根の中を見ながら治療することで、汚染されている部分を除去したり、今まで手がつけられていない部分や見つけられなかった根管も治療できるようになります。さらに、お薬でふたをするときも、より緊密に封鎖できるため、根の中で細菌が繁殖することを防ぎます。今まで根管治療をしたことがない方や繰り返している方なども、この治療で、歯を抜くことを回避したり、長く使えるようにすることも可能なのです。

マイクロスコープ

―どのようなことを診療の際に心がけていますか。

まず、患者さんの主訴を聞くことはもちろんのこと、お口の中全体総合的に検査・診断し、歯が悪くなった根本原因を追求していきます。それを踏まえ、今後の治療計画を立てていくことで、今後悪くなる可能性のある部分を予防することも可能です。歯を失う原因の多くは、歯周病か噛み合わせによるものです。歯周病の治療では、感染リスクを抑えるための精度の高いかぶせ物の治療が重要ですし、噛み合わせについても精度の高い矯正治療が重要になってきます。当院では、それらの治療をより精密に行うために、マイクロスコープや歯科用CTを導入し、治療を行っています

自分自身、治療を受けたいと思う環境づくりが大切

ユニット

―内装や設備についてのこだわりはありますか?

患者さんで、長時間診療される方とか、手術を受ける方などいますので、ユニットはふかふかで体が痛くならないものを選んでいます。また、顕微鏡やCTは開業時から入れていて、これがなければ正確な診断はできないというくらい大切なものです。また、衛生面にもこだわっていて、クラスBの滅菌器やジェットウォッシャーなどを導入し、安心して通院していただける環境になっています。このクリニックを開くにあたって、私や家族、スタッフを含めて、自分が治療してほしいと思えるような歯医者にすることが目標でした。最新の設備があっても、実際に使いこなせていなければ意味はありません。実際に働いている私やスタッフが、自分自身こういう環境で治療を受けたいと心から思えるような場所にしたいと思ってやっています。

―どんな治療を続けていきたいですか?

まず、患者さん一人ひとりが、歯が悪くなった理由を診査して診断し、把握することが大切だと思います。その理由を知ることで、それに対して必要な治療が明確になってきます。その理由を患者さんに説明し、それに対する治療をしっかりしないと、痛いところや悪くなったところだけ治療を繰り返しても、同じ原因で別な場所が悪くなり、結局どんどん歯がなくなってしまいます。それを防ぐために何をすればいいのかを患者さん自身が知っていてほしいのです。その上で、たくさんの治療法の中から、患者さんの受けたい治療を選んでいただき、初めて治療していきます。患者さんが長く自分の歯を使えるようになったら、定期的に一人ひとり患者さんに合わせた予防メンテナンスを計画して、治った状態をできるだけ長く維持できるようにします。自分の歯をできるだけ長くもたせることで、健康寿命を上げることができたらいいなと思います。

院長

―今後の展望についてお聞かせください。

当院に来てくれた患者さんが、安心して通っていただき、ここに来てよかったと言ってくれるような医療を心がけたいと思っています。いろいろな歯科医院を回って、自分の歯は残せないと言われていた方が来院して、治療したところ、また歯が使えるようになった時の笑顔と、「先生に出会えて良かった。ありがとうございます」と言われたときは一番うれしかったですね。もちろん、本当に保存できない場合もあります。残しておくとデメリットしかない場合もありますので、その場合は、患者さんにもその部分を画像で見せて、納得してもらえるまで説明します。カフェのような落ち着いた雰囲気にして、リラックスして来てもらえるように努力していますし、早く見つけることができれば簡単に治せるものや予防法もありますので、気になるところが少しでもあれば、患者さんが気軽にご相談に来てもらえるようなそんな歯科医院になりたいですね。

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